くりくりまろんのマリみてを読む日々

鑑賞記〜春〜

第十一話・第十二話③

加東景の下宿先で温まってから自宅に帰ったあと、悲しみをまた思い出して泣く姿というのは、激情が迸るような泣き方とはまた異なった風情で、観る者にも沁みてくるようです。 あまり親交のなかったクラスメイトに招かれたミルクホールでは、お互いの距離を推…

第十一話・第十二話②

「レイニーブルー」から「青い傘」の話の流れは、やや複雑な仕組みを持っていると思います。「レイニーブルー」では祐巳の打ち捨てられたかのような惨めさが強調される一方、祥子に何か事情があったのではと予想させるものになっています。 祐巳の視点から、…

第十一話・第十二話①

祐巳の心象の変化を表すのに雨にまつわる題材が用いられています。情緒はイメージと不可分であることを考えると、イメージを担う題材の選択は、極めて重要なことです。 まず、作品全体で強調されている「雨」ですが、これはイメージというよりもより身体感覚…

第九話「ロザリオの滴」

雨に濡れそぼり、苦悩する志摩子。そしてそれを追いかけてきて志摩子に優しく、かつ力強く語りかける乃梨子の情景はマリみての話全体の中でも白眉の叙情性を誇り、映像化されて良かったなぁと思います。 志摩子は、極めて強い自己抑制を行う人としてこれまで…

第八話「銀杏の中の桜」③

アニメは原作と比べると端折り過ぎなのではといった不満を良く見かけます。それではアニメ単体で楽しめるものなのだろうか、原作未読の人から見てどうなのだろうか、という疑問が出てきます。 人魚のくるぶしさまのところは、原作は未読ということなのですが…

第八話「銀杏の中の桜」②

雑感としまして、銀杏の中の桜という話のもたらす嫌悪感について考えてみようと思います。ネットを見て回ると、嫌いだと明言する方が多くいますね。 生徒の前で行われるということが一番にあると思います。集団の中で突き上げられてはさぞ辛かろうというのは…

第八話「銀杏の中の桜」①

昨夜はアニメを見る前に、原作を読んで志摩子さんのことを考えようとしていました。しかし読み終わると安心してぐっすり寝てしまい、リアルタイムでの放送を見逃した爽やかな夏の休日です。今回は人物ごとに分けて書いてみようかと。 志摩子と乃梨子 前回乃…

第七話「チェリーブロッサム」

情緒の世界の展開と緊張感のある物語の展開が融合していた話と思います。情緒はイメージと不可分のものですが、特に日本的イメージが多く登場していました。新たに登場した乃梨子は几帳面に切り揃えた前髪と柔和な眼差しが印象的で、一方瞳子は剃り上げたよ…

第二話「黄薔薇まっしぐら」

しみじみとしたおかしみ、と言うのがおそらく適当と思われるおかしみのある話でした。 卒業を間近に控えた、ロサ・フェティダの通り名を持つ鳥居江利子の不行跡が疑われるというスキャンダル騒ぎの顛末が描かれています。 複数の男性との交際という俗で下世…

第三話「いと忙し日日」

卒業する薔薇さまたちを内々で楽しませるべく、祐巳たちが隠し芸のために奮闘する話です。 書きかけのチョークの線をすぅと引っ張って黒板の前に昏倒する祐巳。担ぎ込まれた保健室のベッドで、再三受けた注意にも関わらず過労で倒れたことを悔いてぽたぽたと…

第四話「WiLL」

卒業前の薔薇様である、水野蓉子と佐藤聖に、祐巳が個人的に名残を惜しむ様子が描かれています。 ある種の気付きが祐巳にもたらされ、今後の見通しを暗に示しているところに奥行きが感じられる話です。 薔薇様三人は総じて物事の見通しが良く、祐巳へかける…

第一話 「長き夜の」

実に爽やかな第一話でした。 アニメ独自の構成の妙が窺われました。 小笠原祥子の「妹」になって間もない祐巳の、小笠原邸探訪記となっています。 祥子は気難しいところがあるのが見て取れます。しかしその表面上の態度に反して、小言を言いながらも祐巳に関…