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追体験の重奏② ― 「無印」への回帰と展開

こともあろうに、新刊発売から一週間以上経っているのにまだ読めていません。いわゆるネタバレは普段は気にせず、他の方々の感想を読んでから取り掛かることも多いのですが、今回はまっさらの状態で読み始めてみようかと思っているところです。発売直後の掲…

追体験の重奏① ― 「未来の白地図」から

一言の下にネタと切り捨てられかねない、しかしそれでも一つの見方として纏めてみたい、今日はそんな葛藤に満ちた題です。 柏木氏の言葉や後には山百合会も巻き込んでさまざまな考え方があることを知り、それでも祐巳は「私の妹に」と瞳子に言って断られてし…

瞳子と「演劇」を中心に⑰ ― 取り込まれゆく祐巳の要素

透徹した対象への没入 翻って「ジョアナ」の瞳子がどのようであったかをみてみますと、一貫して「居場所があるかないか」ということに拘っているのがわかります。要らないと言われて矢も盾もたまらず出奔したが、やはり要る存在であることを再認識して自ら戻…

瞳子と「演劇」を中心に⑯ ― 初めに「私」ありき

「くもりガラスの向こう側」、あらすじが発表されているようですね。もやもやとした、不分明な憂鬱が描かれるのでしょうか。しかし向こう側も垣間見えるのだとすれば少し怖いような希望もあるような。題名自体がサスペンドな感じで不安を掻き立てます。 姉妹…

瞳子と「演劇」を中心に⑮ ― 対象と深く関わること

瞳子・祐巳≒祐巳・弓子 「特別でない〜」と「ジョアナ」で異なる二方向から描かれた祐巳と瞳子の話は、我慢強い相互理解の物語ではありませんでした。瞳子は状況をひたすらまくし立てながら自己完結して問題は自分で解決したので、一見、祐巳の言葉のほとん…

『未来の白地図』 ― 役との繋がり

明けましておめでとうございます。更新頻度が矢鱈に低くしかも読みづらいブログに関わらず、目を通したりコメントを寄せてくださる方々がいるのは有難い限りです。 ラストスパートに入ったプリキュアに関連する方々の記事も昨年は沢山読ませていただきました…

「未来の白地図」 ― 古典に見出すモチーフ

マリみてTTの掲示板にて。冬紫晴さん(マリみて解題の試み)によると、瞳子の演じた小公女に関連して ・Amy(エイミー)と同じ名前であるEmily(エミリー)という人形が出ている ・瞳子には、小公女を彷彿とさせるものが感じられる そうです。《青空文庫》の中…

姉妹制度の知恵⑥ ― マリみての人物造形

姉妹制度の知恵⑤のコメント欄の続きです。よーすけさまからいただいているのを改めて張り付け直します。 舞台裏的な見方をすると、祐巳の、周囲の動向に対するリアクションでしか自己主張が出来ない、自意識の薄い、曖昧模糊としたキャラクター造型は、古風…

瞳子と「演劇」を中心に⑭ ― 内面の探索と受容

『未来の白地図』、新宿マイシィティの有隣堂で買ってきました。二時の時点でサイン会の整理番号は76番。ああ、ついに生の今野先生に。 …さて。 主体的な努力がされていた 「女優業に専念する」と言って「パラさし」以降あまり登場していない瞳子ですが、そ…

瞳子と「演劇」を中心に⑬ ― 重ね合わされていた影

自らの外に重ね合わされていた?ジョアナ 感情との向き合い方という点に焦点を当て、どのように描かれてきたのかを見たいと思います。 『ジョアナ』は瞳子の内心の独白という形で綴られており、異型のものでした。表題になっている人形「ジョアナ」は重要な…

姉妹制度の知恵⑤ ― 自己受容の過程・祐巳の優しい分身

姉妹制度の知恵①などでよーすけさまから重い内容を持つコメントをいただいており未だに消化しきれていないのですが、改めて考え直したいと思います。 ・祐巳にとって他者の好意や愛情というものは、与えられるまで待っていなくてはならない、自分から求めて…

新刊表紙に寄せて

『未来の白地図』の表紙が公開されましたね。展開の予想は苦手でいつも外してばかりゆえ、諦めております。しかし、表紙の絵から連想されることをつらつらと述べたいと思います。言わば判じ絵遊びです。 表紙の構図での、体の向きと視線の方向に注目してみま…

瞳子はトリックスター?・新刊あらすじに寄せて

新刊の題は『未来の白地図』。浅はかな先入観かも知れませんけれど、瞳子の出奔は心の中のことを抱えきれずに逸脱的な行動をしてしまった(行動化、アクティング・アウト)、などということが書かれているのでしょうか。 これまでの話の現象だけを見るならば、…

瞳子と「演劇」を中心に ⑫ ― 感情との交流

…そして、祐巳が瞳子の役を聞き「ピョンコピョンコ」と飛び跳ねて喜ぶところは、瞳子にも何らかの感慨を与えたに相違ありません。瞳子に対する共感を示すという点では最上のものであった可能性もあります。演劇が題になっているシーンでこのような全身を用い…

瞳子と演劇を中心に⑪ 演劇の周辺

マリみてでは人物の関係が、それぞれどのように変化してゆくのかということを軸に話が展開されています。しかし人物どうしの相互関係とはまた違った視点で注目したいのが、深く特定の活動・物事に関わり、しかもそれが何らかの表現行為へと結びついている様…

姉妹制度の知恵④ ― 可南子と夕子の「姉妹」性

可南子について祐巳がこんな感想を述べています。 口に出して言わなかったけど、可南子ちゃんにとって、お姉さまと呼べる人がいたら、それはこの世で夕子さんだけなのかもしれない。祐巳は、そう思った。 この世でただ一人、といった強い言葉がさり気なく出…

姉妹制度の知恵③ ― マリみての心性は重層的

前回、母性などという言葉を持ち出し、だいぶ違和感を持たれた方もいるかもしれません。あるいは今更当たり前のことと思った方もいるかも知れません。誰もが容易に了解できるようであると同時に全てを語ることは到底不可能な大きな概念ではありますが、マリ…

「薔薇のミルフィーユ」感想② ― マリみての次のステージ

突如現われた要素 少し総括的で抽象的な話です。「紅薔薇のため息」で最も驚いたのは、一見マリみてにそぐわないような「上のステージ」「勝てない」「同志」などといった言わば男性原理的な匂いのする言葉が次々に祐巳に投げかけられたことです。勝つ・負け…

「薔薇のミルフィーユ」感想①

祐巳、柏木氏に完敗。 …と、いう風合いの話です。今「紅薔薇のため息」を読み終わったのですが、僕は「真夏の一ページ」所収の「略してOK大作戦(仮)」がマリみての中でも極めて好きであり、その続編のように読めて大変楽しめました。学園から一歩飛び出した…

瞳子と演劇を中心に⑩

やさしさを引き出す「妹」であった可能性 「B.G.N」ではじめて瞳子に会ったとき、祐巳は祥子の瞳子に対する様子が妙にやさしく見えたことにもショックを受けています。そして瞳子には周囲の者に何らかの感興を呼び起こさずにはいられない、愛らしい素振りも…

姉妹制度の知恵② ― もう一組の内藤姉妹

瞳子と祥子の間柄について考え直してみたいと思います。一体どうなっているのか不思議な気がしてくるのが瞳子と祥子です。瞳子にとって憧れのお姉さまなのが祥子であるという認知がクラスの中でされているようですし、祐巳の目から見てもほぼそのようです。…

姉妹制度の知恵① ― スールとは異なる「姉妹」の形

マリみては刺激的な題材が多いものですから、つい意気込んで深読みをしたくなることがあります。しかしその前に思い起こされるのは前回popさまがコメントで述べられているように、誰にでも覚えがあるような心の動きや葛藤がきめ細かく丁寧に扱われている小説…

瞳子と「演劇」を中心に⑨ 瞳子の特異さ ― 稀な破壊性、そして演劇

"よーすけ"さまより、「演劇」をめぐっての瞳子と祥子の関係などを中心に、コメント欄が伸び過ぎではとのこともあってメールをいただきました(ありがとうございます)。 こちらでくりくりまろんさんのご意見などを伺いながら考えが至ったのは、瞳子のキャラク…

瞳子と「演劇」を中心に⑧ 小笠原一族の心的傾向に関して

"はちかづき"さまより、登場人物の姿勢についての精緻な考察をメールでいただきました(ありがとうございます)。ほぼ全文を転載させていただきます。文中リンク等を加え、余計かもと思いつつ強調表示も入れました。 くりくりまろんさまが『「特別でないただの…

瞳子と「演劇」を中心に⑦ 瞳子の原則・攻撃性との折り合い

第一に「性格」の問題として描かれているのではないか 瞳子というとまず目立つのが激しい気性です。あくまでその気になればですが先輩も半泣きにさせることができます。髪型などと違って眉というのは生来のものですから「気の強そうな眉」という描写は、気性…

瞳子と「演劇」を中心に⑥ 自由に伸びる祐巳

祐巳の認識力 祐巳についてはあなたは自然のままが一番良いと祥子に言われているように性質そのものについては野放しであり、内省は多いのですが鋭く自分と対決せざるを得ないということはありません。 そして③のように祐巳の深層(あるいは二重構造)として…

瞳子と「演劇」を中心に⑤ 根の深さとのたたかい

直截な解決は無い話 ただ、前記のような問題をマリみては掲げ始めたのではないかとの推測をするとしても、問題の提示とその解決というような直截なものではなく、問題の提示に続く希望の提示という形になるのかもしれません。その希望はスール制度のもたらす…

瞳子と「演劇」を中心に④ 瞳子と祐巳の絆はどこに

マリみて版「カインとアベルの物語」? 前記のような祐巳の中の幼子と、祐麒が瞳子の中に見たような荒ぶる「幼稚園児」(それぞれの「資質」と言い換えても良いですね)を並べるとどのように見えるでしょうか。この点、マリみて解題の試みさまが瞳子について考…

瞳子と「演劇」を中心に③ 祐巳の中の「子ども」の物語

祐巳の透過性 イメージに注目した話を続けます。 祐巳の中には、天真爛漫で天使のような微笑みを持つ幼子がいるのでしょう。子供というものの一つの理想形で周りの大人を引き付け癒します。決して暴れたりはしません。しかし虚弱体質で良くぐずり、その意味…