新刊表紙に寄せて

未来の白地図』の表紙が公開されましたね。展開の予想は苦手でいつも外してばかりゆえ、諦めております。しかし、表紙の絵から連想されることをつらつらと述べたいと思います。言わば判じ絵遊びです。
表紙の構図での、体の向きと視線の方向に注目してみます。
二人の人物が登場している巻を見ると、当然と言うべきか、二人が向かい合ってじっと見つめ合っているというような構図はありません(笑)。表紙は物語が始まる前のスナップショットのようなものですから、登場人物の間で初めから閉じていて読者が入り込みづらい形を避けているということでしょうか。
・『バラエティギフト』:由乃祐巳が決めポーズ。
・『レディ、GO!』:びっくりしたような目の祐巳と、血気に逸る由乃
両者ともいわゆるカメラ目線であり、特に誰かが写真を撮ったかのような印象を与える表紙です。
祐巳由乃の、ほのぼのとした間柄が伝わってくるようです。
・『ウァレンティーヌスの贈り物(前編)』
それぞれ違う物を持って、祐巳と祥子はほぼ背中合わせになっています。
・『黄薔薇革命』、『特別でないただの一日
後ろから「姉」が「妹」をそっと支えています。この二つの巻は構図が似ていますね。《無印》もこの系統に入るでしょうか。姉妹関係を表すのに極めて穏当で、安心感を覚えます。
イン ライブラリー』は言わずもがな、意識を失って凭れかかっている祐巳を本好きの祥子が支えています。
・『涼風さつさつ
髪が風に棚引く爽やかさ。祐巳と祥子の体の向きはおよそ向き合っています。
・『ロサ・カニーナ
斜めに画面が区切られた、特異な構図です。蟹名静志摩子は、聖という接点がなければ知り合うことは無かったでしょう。全く別々の道を行っている者同士が、ほんの短いひと時を経て強い影響を及ぼし合うに至る不思議さを感じます。
さて、『未来の白地図』です。あろうことか、瞳子祐巳は別々の方向を向き、視線も別々でしかも読者の方すら見ようとしていません。背中合わせかと思うとそうでもなく、ほとんど接していません。瞳子のポーズは拒絶を表しているのでしょうか。
二人はバラバラという印象を受けるのは、仮に瞳子が本心を隠しているのだとしても、祐巳があらぬ方向を向いているように見えるからです。虚空を彷徨う空ろな眼差し…などというのは大げさですが。前途多難な気がします。
…あれあれ余りよろしくない結論となりました。
しかし良く見ると祐巳の目には茶目っ気が宿っているようでもあり、新しい境地を示しているとも思われます。構図、二人の表情共に新機軸ですね。ますます楽しみになりました。
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