くりくりまろんのマリみてを読む日々

瞳子はトリックスター?・新刊あらすじに寄せて

新刊の題は『未来の白地図』。浅はかな先入観かも知れませんけれど、瞳子の出奔は心の中のことを抱えきれずに逸脱的な行動をしてしまった(行動化、アクティング・アウト)、などということが書かれているのでしょうか。
これまでの話の現象だけを見るならば、瞳子は一つ間違えれば大変なことになるといった破壊性と、通常ではできないことを実現するといった創造性を合わせ持っているようです。*1
銀杏の中の桜では意図的に特別な「場」を演出し、出演しました。
祐巳の前に現れたときは(おそらくは全く意識しないままに)祐巳・祥子の姉妹関係を壊しかけ、結果として二人の間柄は組み直されました。ただ何より、『B.G.N』では薔薇の館に闖入して、祐巳にとって調和の取れた場所を壊したかのように描かれているのが目立ちます。祐巳の視点に立つ限り、「マリみての世界を壊した」とも言えましょう。
・ほとんど不明な演劇部の内部ですが、瞳子の挙動のおかげで一石を投じられたのではと想像します。
瞳子と演劇を中心に①でも触れましたが、瞳子収まりのつかない強い力を溜め込んでいる子として描かれているようです。それを「幼稚園児」のような可愛らしさとしておぼろげに感じ取っている祐麒が連れ帰るというのは、何となく分かるような気がします。
瞳子にも何か余程の考えがあるのでしょう。少しずつ違う、それぞれの人物の強い意思が感じられるときに魅力を感じます。祐巳がいかに弱々しくなっても、それは強い欲求の裏返しです。
薔薇のミルフィーユ』ではそれぞれの姉妹の関係が改めて見直されているようです。乃梨子志摩子で示されようとしているテーマが何かあるのかも楽しみです。由乃と菜々は、…ええ、飛ばしまくり(飛ばされまくり)なのでしょうかね。
[▽この項終わりです]

*1:はてなのキーワードに「トリックスター」の解説があります。