くりくりまろんのマリみてを読む日々

姉妹制度の知恵② ― もう一組の内藤姉妹

瞳子と祥子の間柄について考え直してみたいと思います。一体どうなっているのか不思議な気がしてくるのが瞳子と祥子です。瞳子にとって憧れのお姉さまなのが祥子であるという認知がクラスの中でされているようですし、祐巳の目から見てもほぼそのようです。しかし一方では互いに妙に距離を置いているようだとか冷淡に過ぎるように見えるところもあり、実は不仲なのではないかとも思われます。
「親戚で、長いつき合い」というその内容はいろいろなふうに捉えられます。端的に、瞳子と祥子は血はつながっていなくても感覚としては実の姉妹に近く、少なくとも瞳子からは実の姉を投影するような形にあるとすると分かりやすいのではという見方から考えてゆきたいと思います。マリみてでは希少な実の姉妹である笙子・克美と、縁続きという点などで共通点のある由乃・令と照応させるのも良いと思われます。
瞳子祐巳と初対面のとき祥子を「お姉さま」と呼んで不快感を催させました。また、親戚であることを主張して由乃とやりあっています。祥子との距離が傍目からはつかみづらく、それがクラスの中でも祐巳などから見た場合からでも少し食い違った認識を持たれてしまうようです。
思わず「お姉さま」と呼んでしまうことと、『B.G.N』での親戚だと紹介してほしいという瞳子の意思は、付き合い方の「質」が違うことを表していると解することもできます。例えば「子羊たちの休暇」で登場した取り巻きのように祥子を慕うお嬢様方と違って、はるかに強い結びつきです。また同時に、スールの間とはまた違った相互関係があるのではないでしょうか。
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