くりくりまろんのマリみてを読む日々

瞳子と「演劇」を中心に② 変容を遂げた少女の物語

「プール帰りの女の子たち」から 話が広がりすぎるのをおそれずに。瞳子が幼稚園児の姿に重ねられたように、実際の年齢と違う姿によってその人の重要な部分が示されているところがあります。 同じく「OK大作戦」で作戦を練り終え、祐巳が祥子と落ち合うため…

瞳子と「演劇」を中心に① 祐麒が見た瞳子の素質

月も改まって今日は「妹オーディション」の発刊日。「妹」の字を冠するとはずいぶんとまた直截なと思いつつ、楽しみにしております。土曜が休みで金曜の深夜にじっくり読める、という方は多いのではないでしょうか。 一人の中の対立軸 「『マリア様がみてる…

ジョアナ④

第4章「重荷」はそれぞれが持っている悩みや希望を中心に書かれ、四姉妹のプロフィール紹介といった意味合いが強いところで、ベスの「人形」についても詳しく書かれているところです。 ベスは人見知りが激しくて学校へは行っていなかった。行ってみたことが…

ジョアナ③

「わぁ、美味しそう。」と二人して言っているかのような、ガーリーでキュートな新刊表紙です。誰の手作りなのでしょう(と、「手作り」に決め付け)。 …すっかり間が空きました。続きです。 それから15分間というもの、この誇り高くて繊細な少女はずっと忘れ…

ジョアナ②

先日歯科医に行きまして右下奥から三番目の歯をかなり深く削られたのですが、昨夜からずきずきと痛み出しました。痛み止めも効きません。歯痛というと黄薔薇革命の折の江利子さま。今まで歯痛というものを知りませんでしたけど、侮ってはいけないものですね…

ジョアナ①

あけましておめでとうございます。更新頻度のやたらと低いブログですがそれでも日頃読んでくださっている方々、ありがとうございます。 最後に出てきた「大きなかぶ」。次々に人を巻き込んでいってついにかぶが抜ける(祥子さまが見つかる)ということかと思い…

「特別でないただの一日」⑧可南子

イン ライブラリーについて少し 新刊を読みました。書き下ろしの部分も既掲載の部分も話に奥行きがあり、一冊としての構成も面白くて大きな満足感がありました。しかも前巻までのエピソードの意味がまた新しい形で見えてくるようで、読みなおしたくなってき…

「イン ライブラリー」表紙② 姉離れ・妹離れは問題になるのか

いろいろな連想をします 「イン ライブラリー」の表紙絵を見た印象は人によってだいぶ違うのではないかと思います。今までの表紙の中でも特に想像を湧かせるものがありますね。ときどき絵を見て悦に入ったりしております(ぇ。 大雑把に、代表的と思われる印…

「イン ライブラリー」表紙①

今朝ひさびさに2ちゃんねるの今野スレを見に行ったら、何と「イン ライブラリー」の表紙がもう出ているとのことでびっくりしました。まんが王倶楽部さまのところにUPされています。 昨夜の10時半ごろに画像のURLが貼られてからのやりとりがおもしろかったで…

「マリア様がみてる」にみる鏡像関係

新刊「イン ライブラリー」が早くも出るそうですね。楽しみです。しかも半分以上書き下ろしとのこと。ライトノベルというと延々と次巻が出ないのが珍しくないようですが、それと比べると幸せです。 今日は細川可南子についての続きとして関連性が強い話なの…

可南子ちゃん、波乱の「非」姉妹宣言

瞳子ファンの方、特に祐巳の妹に瞳子を希望する方ごめんなさいな内容です。 瞳子か可南子か、あるいは他の誰かが祐巳の妹になるのか、これまで出てきた材料をいくら吟味したところでどれも確証にはならず、想像ばかりが掻き立てられる今日この頃です。いや「…

美冬には無かった“K”の話

とても不遇な人 「ウァレンティーヌスの贈り物」で、祐巳のひたむきさと純粋さの中に自らには無い凛質を認めた鵜沢美冬は、異彩を放つ登場人物です。おそらく今後二度と登場することは無く、祥子にも昔を思い出されず、つい先日のことなのに髪型を変えただけ…

「特別でないただの一日」⑦可南子

マリみてでは時に深刻な主題が出てきますが、殊にここに出てきた話は自分が分析チックに述べるのはいかがなものかという迷いがあります。娘を持つ人や、逆に女性の立場からだったらいろいろ言って良いと思うのですが僕は若輩者だし。進退極まるのですが、考…

もう少しで瞳子は祐巳を好きになるような気がします

TB

上書きも妹候補も一人称があるかが決め手かも@〔おけぐわの日記〕さまでの瞳子についての話にトラバさせていただきます。(いつも視点がユニークで、楽しく拝見しております。) 特に祐巳と深く心を通わせる人物については、その人が何を考えているかを直接描…

山百合会の変節

Web

Transparencyの透-架さまが、10月27日(水)の記事で、《マリみてにおける読者視点を中心とした質の変化》と題して、「ちょっとした小言」を述べられています。 ふと思ったんですけど、小説を読んでいて気が付いたんですが、蓉子、聖、江利子が卒業する前後で …

「特別でないただの一日」⑥可南子

父親の話の最高潮 物悲しく、しかし希望の持てる話でした。 可南子の父親が突然登場するのには驚きました。そして何よりも意外だったのは、夕子という慕わしい先輩が既にいたことです。話を読めばなるほどと納得のいくような描かれ方はしていますが、少々取…

「特別でないただの一日」⑤瞳子

演劇部の方を断ってまた復帰する一幕・無自覚の面白さ ここで一貫してみられる瞳子と祐巳の様子は深化せず表層に流れているように見えながらも、しかし確かに、依存とこれと対となる非依存・独立をめぐるやりとりであったと思います。とうとう祐巳も下級生に…

「特別でないただの一日」④瞳子

瞳子のウィークポイント では瞳子の、将来補われてゆくことが予想される点はどんなところにあるのでしょうか。 この点、殿下執務室さまでは、本巻での瞳子や可南子の位置付けについて考察しつつ、 恐らく筆者の側としては「山百合会の幹部というのは、一見完…

「特別でないただの一日」③瞳子

瞳子の特徴 瞳子を考えるとき、他の登場人物と共通する特徴や美点を持っているとすると分かりやすいと思います。 祐巳 髪型が類似していて暗示的です。ただ、祐巳の場合は跳ねやすい癖毛をまとめるための苦心の結果で子犬のしっぽのようだと形容されており、…

「特別でないただの一日」②瞳子

祐巳と瞳子の不思議な関係 祥子から25分間の許可を得て祐巳が瞳子を学園祭の見物に連れ出して駆け出すとき、瞳子が手をギュッと握り返したというシーンはとても印象的でした。懐かしいような、少し切ないような気分になりました。 松平瞳子像を考えつつ、な…

「特別でないただの一日」①

全体の印象 いやあ、実に楽しませていただきました。 いろいろな果物が外にまでこぼれかけた果物籠をイメージできるような作品ですね。学園という場、そして特に学園祭という外に向かって開かれるいるときに祐巳、瞳子、可南子を軸に登場人物が多数登場し、…

第十一話・第十二話③

加東景の下宿先で温まってから自宅に帰ったあと、悲しみをまた思い出して泣く姿というのは、激情が迸るような泣き方とはまた異なった風情で、観る者にも沁みてくるようです。 あまり親交のなかったクラスメイトに招かれたミルクホールでは、お互いの距離を推…

「とりかえばや物語」②

氷室冴子著ざ・ちぇんじ! (第1巻) (白泉社文庫) ざ・ちぇんじ! (第2巻) (白泉社文庫)の簡単な感想・レポートです。 ・最初に呈示される興味をずっと維持したまま、物語全体を一貫して読むことができると思います。結末に至るまで事態が緩むことなく進展して…

第十一話・第十二話②

「レイニーブルー」から「青い傘」の話の流れは、やや複雑な仕組みを持っていると思います。「レイニーブルー」では祐巳の打ち捨てられたかのような惨めさが強調される一方、祥子に何か事情があったのではと予想させるものになっています。 祐巳の視点から、…

第十一話・第十二話①

祐巳の心象の変化を表すのに雨にまつわる題材が用いられています。情緒はイメージと不可分であることを考えると、イメージを担う題材の選択は、極めて重要なことです。 まず、作品全体で強調されている「雨」ですが、これはイメージというよりもより身体感覚…

ああ由乃さん

「注意報」を見て以来、いろいろ由乃さんについて語りたいこともあるのですが、何しろ最近午前様なんです…。

祐巳さんは少し張り切り過ぎではないでしょうか

TB

殿下執務室さまが祐巳さんの友達関係が薄く見える件についてで興味深い題について論じられています。チェリーブロッサムに思う―乃梨子・祐巳・リリアンは、トラバありがとうございました。 端的に割り切って考え、祐巳はもともと万事においてスローペースで…

「とりかえばや物語」①

どちらにしようか、と少し悩みます。氷室冴子と田辺聖子。アマゾンで「とりかえばや」と入れて検索してみました。氷室冴子は翻案の度合いが強く楽しく作られており、これに対して田辺聖子は現代語訳ということで原典に近いようです。田辺聖子の方には、面白…

第九話「ロザリオの滴」

雨に濡れそぼり、苦悩する志摩子。そしてそれを追いかけてきて志摩子に優しく、かつ力強く語りかける乃梨子の情景はマリみての話全体の中でも白眉の叙情性を誇り、映像化されて良かったなぁと思います。 志摩子は、極めて強い自己抑制を行う人としてこれまで…

第八話「銀杏の中の桜」③

アニメは原作と比べると端折り過ぎなのではといった不満を良く見かけます。それではアニメ単体で楽しめるものなのだろうか、原作未読の人から見てどうなのだろうか、という疑問が出てきます。 人魚のくるぶしさまのところは、原作は未読ということなのですが…